辛い辛いとみんな言う。ということは、みんな辛いのだ。しかし、辛いということを本当に理解していれば、本気で辛いと言うことは憚られるはずだ。(難読)
「辛い」と言うのは「私は生きている」と言うのと同じことだ。わざわざ主張しなくても、生きているのは見れば分かる。
辛いと本気で口にする人は、この世の誰でも辛いということを知ってはいるのだろうが、納得していない。自分こそ誰よりも辛いのであって、他人の辛さは認めていない。だから辛い辛いと本気で主張するほど、相手を軽んじていることになり、失礼にあたる。
「辛い」という言葉に込める思いが重いほど、より失礼になる。冗談のつもりで軽く口にされる「辛い」は問題ない。自分が辛いのと同じくらい、またはそれ以上に相手も辛いのだと認めた上で、お互いの辛さを笑い飛ばすような心遣いがあるからだ。(ex.つらたん、つらぽよ、つらみ)
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本気の「辛い」は、いっぱいに満たされたコップの縁から水があふれてしまうように発される他ない。しかし本当の辛さとは、どこからもあふれることなく心の内に保たれるものではないだろうか。