湖畔の左へ

生活するために書くブログ

異世界系物語は本格ファンタジーを目指さない

異世界系物語が何番煎じか分からない使い古されたモチーフを多用して作話をラクにしていても、空想上の生き物や、現実の物理を無視した魔法を扱っている限りは、ファンタジーと呼べない、ということはない。ただ、「本格」ファンタジーと呼べないだけだ。異…

20230919の虚ろな回文

虚だけか営み、忌む気怠い醜さとあの火の痕裂くに、見入るだけ無意味な問いかけだろう うろだけかいとなみいむけだるいみにくさとあのひのあとさくにみいるだけむいみなといかけだろう →放火事件のことを思うと本当に涙が出てきてしまう。 中島、桜井氏、中…

中島みゆき『倶に』に寄せる感想文

倶に走り出そう 倶に走り継ごう 生きる互いの気配がただひとつだけの灯火 中島みゆきの『倶に』、昨日のSONGSの特集で初めて聞いた。 突き詰めると、人と人は真に分かり合うことはなく、独りで生まれて独りで死ぬ。しかし、まったく同じように独りで生まれて…

おにまい7話について

アニメおにまいでは、蝶と花が毎話必ず描かれる。6話までは、花はアイキャッチのように場面転換する際に数秒映され、蝶はEDの冒頭で描かれてきた。特にEDでは、にかっと笑うまひろの上を2羽の蝶が、密度の高い作画のされ方で舞い飛んでいるのが強く印象に残…

「UCC GOLD SPECIAL PREMIUM ナッツビート」レビュー

www.amazon.co.jp まずかったので、レビューを書く。 UCCの商品を今後一切避けるために、そしてUCCへの深い怒りを記憶に留めるために・・・。 <条件> ・粉(中細挽き)16g、熱湯150ml程度、ペーパードリップ ・抽出終わりの薄い部分はカップに入れないよう…

Pure Japanese感想

『Pure Japanese』についてまとめると、日光江戸村という、江戸時代の日本を模したテーマパークを舞台に、ディーン・フジオカ演じる、忍者を演じる役者が、天性の嘘つきのくせに、純日本人的な精神性を無理やり装って、忍者というよりあからさまなヒーローと…

因果応報

なんとはなしにブログを書く時期が来たのかもしれなくて、何かを書き残しておきたい欲が強くある。それで最近は自分のブログをよく開いてみて、すごく昔、10年以上前の記事を見たりする。ものすごく変なことばかり書いてある。5年前の自分なら、恥ずかしさで…

ただ鳴くもの、ただ歩くもの

今週のお題「秋の歌」毎日の通勤で通る道の際に雑草が生えていて、側を歩く度に、こんな草なんか抜き去ってしまえばすっきりしていいのになあと思っていたのだが、ある秋の晩、その道を歩いていたとき、鈴虫のような虫の声が、明らかに雑草の中から聞こえて…

人生はボーナスゲーム

どんなに辛いこと、悲しいこと、耐え難いこと、苦しいことがあっても、何も失うものはないのだと考えながら生きるようにしている。陰口を叩かれても、別に手足が断たれた訳でもなし、心は自由なまま何も変わらない。仮に誰かの手によって、手足を断たれたと…

今日の回文

答えつかめていなくて駅へ消えてく泣いて目餓えた子 (こたえつかめていなくてえきへきえてくないてめかつえたこ) 禍知りなと 今やや病となりしか (かしりなといまやややまいとなりしか) まだめくら 日に日にひらく目玉 (まだめくらひにひにひらくめだま…

暴力の神・まどかとの反暴力的な共生

まどかマギカになんと続編劇場版の制作が決まったということで、前回のあらすじと今後のほむらの展望を考える。 少女の夢や希望をエネルギーとして搾取する暴力的な構造に対抗して、世界を上書きする「法」という究極の暴力の化身となったまどか。対抗暴力が…

愛の歌はいつ贈られたか Awesome City Club『ceremony』考

Awesome City Clubの『ceremony』を繰り返し聞いている。この歌には、大切な何かが眠っており、頭で追って考えてみたいと思うのだが、ずっとおしゃれなリズムと歌唱が反復しているせいで、何も展開されてこないので、ここで考えてみることにした。 まずなぜ…

いつも見ている

いつも見ている人がいないから、今日はサボろう、サボってもいいと考えることが多いが、自分がそれを許していない。許していないけれど、サボっているので、どちらかを諦めなくてはいけない。許さない、という考えを止め、許すことにするか、サボらないこと…

私たちは攻撃されている

私たちは攻撃されていると、思わないだろうか?これは、『鬼滅の刃』の炭治郎が、下弦の一に精神攻撃を受けていることを、強靭な精神力で見破った際に、自身に言い聞かせるようにして「攻撃されている」としゃべっていることを言っているのだが、炭治郎が活…

鬼滅は説明過多との批判に、説明過多を肯定する形で反論する

鬼滅は説明過多との批判に、説明過多を肯定する形で反論する。説明過多という観点で違和感を感じたことはある。特に劇場版のCMで炭治郎が「攻撃されている!」と叫ぶシーン。観てる側は攻撃されていると分かっているのに、キャラクターがあえて叫ぶ必要なく…

永遠の嘘をついてくれ

中島みゆきが作曲し、吉田拓郎に贈った『永遠の嘘をついてくれ』という歌が大好きで、「永遠の嘘をつく」というフレーズが、座右の銘ともなっている。 少し前に、絶対に破れない愛を誓うにはどうしたらいいか、という趣旨の増田が投稿されたが、すぐにこの「…

雨の日の回文

日の目合間の境目異世界落雷か生命傘の舞雨の日 ひのめあいまのさかいめいせかいらくらいかせいめいかさのまいあめのひ 今週のお題「傘」

鬼を切るために

また物語のことが気になり始めた。 これまでに異世界生活系物語について考えてきたが、私が認知している物語群(といってもアニメや漫画ばかりになると思うが)の核心に近づくべく、「生活系物語」について考えていきたい。 以下のような順番で考えていくこ…

表現の不自由について

表現の不自由展、とても面白い。その中身は実はほぼ知らないが、ネットの隙間からのぞき見ていると、表現をめぐって現代日本の姿があぶりだされていき、表現の不自由そのものを現実に召喚する魔法陣のごとき謎の力を発揮している。 表現はすべて暴力に還元で…

異世界生活系物語を考える件⑤(または光)

異世界生活系物語のことを常日頃考えている。異世界というバッファを設けて本当に語りたい私たちの「生活」とは何なのか。自然に入り込むことのできる懐の深い物語群の力が弱まった現代にあって、私たちは、あえて物語ろうと努力し、不格好に前に進んでいか…

暗闇

京アニ放火への悲しみが尽きない。自分の魂の一部が損なわれたようだ。彼らが作るはずだった未来、かなり高い確率でこれから生まれるはずだったまったく未知の作品たちが、幻のように掻き消えてしまった。物心ついてから、自分に近い人が死んだことがないが…

異世界生活系物語を考える件④

ついに「Re:ゼロから始める異世界生活」のアニメを観た。思っていた以上に面白く、心に刺さった。ただ面白おかしいだけでなく、今生きる人間を救い得る力をもった、素晴らしい物語だった。「リゼロ」の物語にかなり魅了されてしまっていて、冷静ではないかも…

異世界生活系物語を考える件③

転生して、別世界でチート能力を使って愉快に暮らすような物語は、現実逃避的ではないか、という批判未満の感情が増田あたりに渦巻いているのを感じた。私からすると、その見方はもったいないなと直感していて、異世界生活系物語の魅力はまだ誰にも掘り起こ…

異世界生活系物語を考える件②

異世界とは何だろう。かつては、海の外にあるよその国とイコールであったろうが、強力な移動手段や情報交換方式を得た現代では、外国の異世界性は大分薄まっている。もちろん、実際に行ってみれば相当に異世界なのだが、時間とお金をかけて頑張れば、なんと…

異世界生活系物語を考える件①

なぜか気になる異世界生活系。なぜ魅力を感じてしまうのか、要素を抽出したくなる。まず名付けをしたくなる。物語の新しい形式の産声をまさに今聞いているような心持ちがしている。この新しい動きも、またすぐに潰えるのかもしれないと、賢く成り下がった大…

佐藤春夫『海の若者』解説

『海の若者』 佐藤春夫若者は海で生れた。風を孕んだ帆の乳房で育った。すばらしく巨くなった。或る日 海へ出て彼は もう 帰らない。もしかするとあのどっしりした足どりで海へ大股に歩み込んだのだ。とり残された者どもは泣いて小さな墓をたてた。 佐藤春夫…

植民地から愛を叫ぶ

自分が植民地化していると仮定する。家の権化である母親に、家という私自身に由来しない法律を強いられ、どのように生活すべきかを規定する力を行使されるなどしている。植民地とされながらも、入植者への愛も併せ持っている。愛ゆえに、家の法に背く行動を…

今日の回文

昼下がりとこの木洗う、遥か広い風。なぜか色光る羽裏、秋の小鳥が去る日ひるさがりとこのきあらうはるかひろいかぜなぜかいろひかるはうらあきのことりがさるひ

孤独を取り戻す

「独身40代の孤独」の正体とは - セカイノカタチ https://qtamaki.hatenablog.com/entry/2018/09/04/23262740代の孤独についてのエントリを読んだ。今自分は孤独じゃない。パートナーと互いに頼りあっている。もしかして割と危ういのではないか。どちらかが…

スクラップメモ

気になったので、少しだけ考えてみよう。「世界のすみ分けが露骨にネット上で可視化されている」荻上チキ氏に聞く 分断するネット社会のいまhttp://blogos.com/article/321033/いろいろな意見がフラットに並ぶようになって、個人はそれらのうち、自分の意見…