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生活するために書くブログ

おにまい7話について

アニメおにまいでは、蝶と花が毎話必ず描かれる。6話までは、花はアイキャッチのように場面転換する際に数秒映され、蝶はEDの冒頭で描かれてきた。特にEDでは、にかっと笑うまひろの上を2羽の蝶が、密度の高い作画のされ方で舞い飛んでいるのが強く印象に残る。7話では、この蝶が本編にあらわれ、花はアイキャッチではなく、みはりの部屋に飾られた花としてあらわれた。ここではまず、蝶について考える。


余裕綽々で試験に臨んだはずが、持ち前のポンコツさで失敗してしまっても、周りが慰め、むしろ肯定さえしてくれる。そのときまひろは、妹になった今、多少出来が悪くても、自分を必要以上に貶めたり、劣等感に苛まれることはないのだと気づく。それが薬の効果による仮初めの安らぎだとしても、少なくとも今は安らいでいられる、そういう時間を生きている自分に気づいた瞬間が、教室の外を舞い飛ぶ2話の蝶として表現されているように見えた。


原作では蝶は描かれていないので、アニメ監督による創作になるが、モチーフとして、非常に的を得ていると思う。まず何より、「胡蝶の夢」を想起する。夢と現実、どちらが夢で現実なのかは究極のところ分かりはしない、突き詰めると、今生きていると思っている現実も本当は現実でないかもしれないし、じゃあ夢かというと、そうとも言い切れない、どちらつかずのまま生きてゆく他ないという意味で捉えているが、今作の内容にぴったりではないか。

 

確かに、妹のときの自分は本来の自分とは違う。でも、引きこもり暮らしていた兄のときの自分だって、本当の自分とは呼べないかもしれない。両性の自分をどちらも本当と呼びにくいのであれば、発想を切り替えて、両性の自分は両方とも自分だと言ってしまえばよいではないか。2羽の蝶は、まひろが兄としての自分と、妹としての自分の狭間で、ふらふらと揺れ動きながらも、日々暮らしていく様を表している、と感じた。


そういえば全然関係ないけど、まひろ(mahiro)とみはり(mihari)って、音がかなり似てるよね。もしかして、構想当初は双子の設定で、お互いに男女逆転するとか、みはりもTSするバージョンとかも考えていたりしたのかもしれない。